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何事もなくバスは学校の校庭前に駐車された。自由を手に入れもみくちゃとなる生徒一同に数人は怒号を投げた。
「静粛に!いつまでも浮かれてフラフラとしないように!全員、運転してくださったバスの運転手さんに礼!」
「ありがとーございましたー」
まばらな挨拶だったがこんなものだろう。
運転手さんはニコニコと手を振り、生徒の荷物を下ろす手伝いをしてくれた。
予想通り、大変なのはそれからだった。
バスから離れるまでは修学旅行気分でいたいのだろう。中々帰ろうとしない生徒一同の尻を叩いて帰宅を促し、職員室に戻るなり土産だの挨拶だの圧倒され、書類仕事もままならない。
しかしそれも例年のこと。数人はパニックになることなく1つ1つ確実に終わらせ、グループリーダー全員の報告待ちをしながら領収書をまとめ、校長に挨拶したりなど同時平行させた。やりたくない、面倒な作業だ。
しかし後からグチグチ言うくらいなら今完璧に終わらせた方が早い。
緩みきった生徒と正反対で数人はいつも以上にキビキビ働き処理をする。
全てはこのあとのため…。
少しでも時間に余裕を作りたかった。
ふと、矢車先生はいらっしゃるかと職員室を見渡したがいなかったので出勤は明日だろう。今出来ることを最大限に押し進め、全く時間を無駄にしなかったが数人が学校を出たのは21時過ぎだった。
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