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「…………。」
さすがに…疲れたぞ。
昨夜英護にたっぷりマッサージしてもらわなかったら全身が油の切れたマシーンのように関節が言うこと聞かなかっただろう。
そんなとこまで「アンドロイドの安堂」を再現しなくていい、と自分でノリツッコミするくらいには疲れてる。
がちゃ、ばふ…
久しぶりの愛車のシートに尻をつけた瞬間そのまま眠りに落ちたい気分だった。
しかし眠気覚ましのコーヒーで喝を入れ、交通ルールを守り安全運転で帰宅した。
しばらく、緩やかな夜の道を滑るように走り…
「………。」
懐かしの我が家であるマンションをフロントガラスから認識した時には思わず笑みがこぼれていた。ああ、やっと帰れる…。
ここから駐車し、部屋に行くまでが面倒なのだがさすがにこの時期車で寝るのは寒すぎて危険だ。
重い体を引きずり、渋々エレベーターまで歩く。この時間だ、誰も玄関口にはいない。
ンイイイイ…ポン♪
1人エレベーターを満喫し、部屋までほんの少しの廊下なのに足取りが重く中々進まない。ちゃんと足を上げればいいのに段々鉛の枷がついたようにズリズリ遅くなる。
いつもの何倍も時間をかけて部屋の前に立ち、後は鍵を開けるだけだ。
ガチャガチャ…カチャ、
聞きなれたはずの鍵を回す音も久しい。
「は~~~、やれやれ。」
玄関の電気を点け、コートを脱ぎ置いて、ジャケットを脱ぐ。ネクタイをほどきながら数人は特大のあくびを手で覆い隠す。
さあ、1番大事なのはこれからの時間だ。
すぐにポケットからスマホを取り出し、電話をかける。
prrrr…ガチャ
『あれ安堂さん?どうしたんスか。』
意外と早く受話器を取ってもらえた。
英護の驚いたような、しかし安心する心地よい声を聞いたら疲れの全てが吹き飛んだ。
数人は意見を申し立てるように足の長さと同じ、食事をするテーブルに手をついて英護にはっきり打ち明けた。
「セ○クスしたい!!!!」
これが本音の10割。数人はメガネの奥で目をランランとさせ家に来るか、ホテルに行くか、それとも車で迎えに行くかあらゆるケースを想定する。
バスで揺られてる間からずーーーーっとそれが言いたくて、英護とセ○クスしたくて。
それだけを楽しみに1日頑張った!
だがしかし、肝心の相手である英護はやや苦笑していた。
『もう、安堂さんってば…。1日も待てないんスか?』
「待てない!」
もう本当に待てない!英護も疲れてるとか、事情があるとか普段なら無理を言わない。
だが今は本~~当にセ○クスしたい!!!
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