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「…ようし、まずは理由をお聞かせ願おうか。」
「んーと…俺をいっぱい感じて欲しいから?俺のいないところでされたら寂しいスよ。」
さすがに分かる、これも用意された答え。
彼の本心ではない。考えるフリして理由を聞かれることなどすでに分かっていた反応だ。
「では違反した暁には?」
「違反って訳でもないスけど…約束破ったらもう前立腺突いてあげません!」
それは非常に困る、が恋人関係の解消…別れる、がないことに心のどこかで安心した。
だが軽い罰ではない。彼は時に非常に頑固だ。ベッドの上で私がどんなにおねだりしようが、決して突いてくれないだろう。前立腺の快楽を染み込まされた私にとってそれは生き地獄。どうやってイケばいいんだ!
「そんな命令ーーー」
「いや、命令じゃないス、お願いス。」
…そうか、彼はあくまで「お願い」にしたいらしい。条件を飲むか否か、判断は私に委ねられている。ニコやかな笑顔の割に考えが腹黒い。
「………………。」
考えろ、命れ…「お願い」の不備を、欠陥を。なにか難癖をつけるんだ。これはお互い譲れないプライドを懸けたディベートのようなものだ。
「…その間の私の欲求不満をどう解消すればいい?毎日君が通ってくれるのか?それとも恋人であれば無条件で自慰禁止を受け入れろ、と?」
「可能であれば毎日抱きたいスけど…お尻じゃなければ今まで通り好きにオナってください!もちろん、別の誰かにいじってもらう、なんてこともダメっスよ?その代わり俺とえっちする時は気の済むまでほじり倒しますから!」
第三者の介入なんて考えてもいない…「ぼいす」は違うよな、ギリギリセーフだよな?
気が急いて全ての自慰禁止と思っていたが条件が緩くなった気がして許しそうな自分がいる。
「君とえっ……する時なんて、条件が曖昧すぎるぞ。1週間、いやそれ以上放置することだって出来るじゃないか。」
「全面的に安堂さんの都合に合わせるんスけど、2日空けることはないっス!月水金、もしくは火木土。日曜日は丸一日セ○クスしてもいいスよ!」
それは…かなり良い。現状は次いつ抱いてくれるか不鮮明だったが希望の日は必ず抱いてくれるということか。う、うーむ…これ以上ごねるのは大人としてどうだろう、子供っぽいだろうか。それなら大人の私が彼の「お願い」を聞き入れてやっても…
この話し合いに終止符を打ったのは彼が耳元で囁いた言葉だ。
「あんたのケツをま○こにした責任はきっちり取りますから…お願い、俺だけにして。」
「~~~~~っ!」
けっっっ……
決して彼の声がねっとり甘い声で鼓膜が孕みそうで腰が砕けたからではない。
卑猥なセリフを言われて脳がズキズキするほど興奮してしまったわけではない。
これはそう教師として…いやいや、年上恋人として恋人の願いを聞き入れてやろうではないか、そんな大人の対応である。
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