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旧館の外観は新校舎と違って物々しい。
なるほど、確かに心霊スポット向きだ。
久しぶりの訪問に数人も胸騒ぎしてきた。
なんだか背中がゾワゾワする、とっとと終わらせて夜の時間を確保したい、と急ぎ足で中へ入る。カギは1つだけ、自分の手元にある。
第三、第三…そうそう、二階のこの部屋だ。
念のため、カギを開けて中に入ってから内鍵を閉めようとしたがドアの枠が古くて傷んでるらしい。カギを閉めたはずなのにユルユルで、やや心配だがしないよりいいだろう。
「資料を整理してしまえば…ええと…」
なんだこの資料は。とにかく古いものがめちゃくちゃだ。教頭はどうしてこんなものを持っていたのだろう。たまたま用事があってこの部屋で閲覧していたのだろうか、それにしては内容がめちゃくちゃで一貫性がない。
とにかく部屋のあちこち、隅々まで確認しても遅々として進まない。
「これはこっち…じゃない、ケホケホッ」
あと埃っぽい。すぐ窓を開けたかったが窓の金具が錆びてて開かない。もう散々だ…。
でも教頭は帰ったはずだし、あと3部片付けたら自分も帰れるから埃は我慢して…
ガチャガチャ
「!?」
ガチャガチャガチャガチャ
…心臓が、早回しになる。口の中の水分が消え去り、額から滝のような汗が流れる。
震えた視線は動くドアノブに釘付けになった。
いいや、そんなはずはない…。
資料室のカギは1部屋ごとに異なる。
そして基本、1つずつしかない。
異例があるとすればマスターキー。
そのマスターキーを自由に持ち歩けるのは校長または…
ガチャリ
「ああ開いた開いた、安堂くんダメだよぉ、カギなんてかけちゃって。」
「教頭、先生…」
嫌な気配がする、危険な予感がする。
逃げなきゃ、逃げないといけないような。
刺激しないよう、数人は一歩、資料室の奥へ後ずさる。
「お帰りになられたのでは…?」
「いやいや、大事なことを言い忘れていてね、わざわざ戻ってきたんだよぉ?」
ガチャン
それならどうして、カギを締める必要があるのだろうか。
その瞬間、数人の本能が訴えかけてくる。
逃げろ、逃げろ、逃げろ…最悪の事態になる前に!
逃げなきゃ、後悔する!
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