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ガン!
ガン!ガン!
バキッ!
「!?」
ドアから激しい音がしたと顎を上に向けて扉へ目を向けた瞬間、古ぼけた枠組みが大破し木くずが舞う様子が見てとれた。
埃まみれの資料室に透き通るような風を吹き込んでくれたのは誰かではない、他の誰でもない…
「えーお…!」
「!!!」
激しく息切れした様子の英護はどうやら体当たりして年季の入ったドアを破壊したらしい。肩を突き出す姿勢から直ると、目の前の光景に絶句しているようだった。
初めて…英護が本気で怒りを表現するのを見た。顔が般若のように、いや阿修羅のように人間ここまで顔が変わるのかと冷静になるほど彼は怒り、憎しみ、まるで理性のキレた狼を見ているようだった。
自分の快楽に夢中になっていた教頭は、英護が汚れた床に膝をついて数人の体を引き上げて初めて気づいたようだった。オモチャを取り上げられた子供のようなひょうきんな顔をしていた。
そんなこと構わず、英護は数人のうっ血しかけて紫色になった両手を縛るベルトから解放し、口に押し込められた下着を取ると丸出しの下半身にためらいなく自分の上着を被せてくれた。それから、抱き潰れそうなほど埃まみれの数人の背中をかき抱いた。
「ごめんなさい、安堂さん…っ」
その声で、言葉でようやく「助けられた」と自覚した。声も出せず数人は英護の胸にすがりついて泣いた。
「さ、帰りましょう。ここから出ましょう。」
「…っん、うん…!」
「…………。」
感動的なシーンを一部始終、間抜けに口開けて見守っていた教頭だったが英護が教頭に見向きもしないことに腹を立てたのか、それとも自分よりも弱いと決めつけたのか…急に我に返ると英護を指差し不満に怒号を上げた。
「お前がオトコだったのか穢らわしい不審者め!学校の承諾なく侵入することは犯罪だ!人生終わったな犯罪者!」
「安堂さん、歩けますか?おぶりますよ。」
「ん…」
「クソが…っ頭の悪そうな見た目しおって!これでもワシは武道を習ったことがある、貴様も殴らないと分からない猿か!?」
「帰りましょう、安堂さん。」
「ん…」
侮辱されようとも教頭の声どころか存在さえ無視する英護に下半身丸出しの教頭のストレスはピークに達したらしい。
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