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「大体何がいけないんだ!男同士、子供が出来るわけじゃなし!」
「!」
その言葉にまず反応したのは英護だった。
ピクリ、動揺した様子を目ざとく察知した教頭は追い打ちをかけた。
「そうだ何も問題じゃない!妊娠もしないし、この行為は全く意味がないということは誰の迷惑にもならない。世の中に溢れてる犯罪の方がよっぽど悪質じゃないか!」
なんてヒドイ…同じ男どころか人間性を疑う。あまりに一方的で自己中心的な教頭の言葉に、英護はブルブルと声も全身も震わせ努めて優しく数人を部屋の外に行かせた。
「…………安堂さん。隣の部屋で待っていてください。耳を塞いで、何も見ないで。」
うつ向いていて、彼がどんな顔をしているか分からなかったけれど…
「………ん。」
素直に頷いた数人は英護の上着で前を隠しながらヨロヨロと言う通りに行動する。
最後に振り返り、ドアが閉まる一瞬…
英護が立てかけてあったモップを握りしめたのは…何も見なかったことにした。
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