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「俺と…同棲、しませんか?」
「………………?」
ど、ドーセイ?同姓?同性?いやどうせいと???数人が混乱して首を傾げてる間に英護の頬は、額は、耳はみるみる赤くなる。
「その、今も半分同棲してるようなもんスけど安堂さんさえ良ければある程度俺の家財とか持ってきたり…嫌なら何も持ってきませんから!だから…そのぉ、安堂さんも迎えに来るの大変だろうしそれならいっそ一緒に暮らせばいいかなーなんて…俺は何を言ってるんだか…」
お互いがお互いに静かにパニックになってる気がする。しかしじっくり考えてみよう、それはつまり…
「一緒に暮らしたい、と言うことだろうか?」
「ん…まあ、そうっスね、…そっスね、そういうことっス。」
英護は挙動不審に辺りをキョロキョロ見たり頭をガリガリかいたりと落ち着きがない。
「俺の家、はまあ前にも言ったと思うんスけどお世辞にもいいアパートじゃないス。だから安堂さんが嫌じゃなければ、ここに俺を…ってそれも今さらなような気もするんスけど…ああ訳分かんなくなってきたあ…」
今度はうつ向いていてしまった。
英護自身言葉を選んで必死らしい。
それから彼は雨に濡れた子犬のような、すがるような目で数人を見上げた。
「本当は、もっと安堂さんと一緒にいたいんス。時間だけじゃなくて、もっと安堂を身近に感じていたい。少しでも嫌ならこの話は全部忘れてください、絶対ワガママ言いませんから…」
「……………。」
なんと言うか……………
何も…言えない…………
てっきり別れるとか捨てられるとかそういう話ばかり想定していたから言葉が出てこない。でも確かなことは…すごく嬉しい。
「嬉しい…」
「えっ?」
嬉しい、良かった、別れるんじゃないんだあ…ようやくそのことを理解すると数人の眦からポロポロと涙が零れ落ちる。それを英護があたふたしながらフォローする。
「ああああ泣くほど嫌だったんスね、ごめんなさい!もう二度と言いませんから、いい子にしますからだから…!」
その言葉の続きはキスで塞がれた。
動揺する英護の頭をかき抱くようにしがみつくように数人が熱烈なキス。
そのままバランスを崩し、英護がソファーの上で仰向けに倒れても数人は決して唇を離さず濃厚なキスを続け、英護は戸惑いつつもそれを受け入れた。相変わらずポタ、ポタと頬に涙は伝い流れ落ちた。
「安堂さん…?」
ようやく解放された唇は濃い唾液でヌルリと光り、英護の声も掠れていた。
数人はその胸に額を押し付け、すがりつくように抱きついた。
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