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えぴ53
なんだかんだあったが数人は英護を自宅に招き入れた。ただし完全に引っ越してくるわけではなく必要最低限の家財を運ぶ、という感じになったようだ。
引っ越してくるのであれば寝室と仕事部屋を分けていたが仕事部屋をリフォームして英護が暮らせる空間を作る気満々であったのだがやんわり断られたし、その上「ベッドは1つで十分スから」なんて言われたら何も返せなくなってしまった。
早速次の日には荷物の移動の話になったのでそこでも手伝いを名乗り出たが今度は申し訳なさそうに遠慮されてしまった。家財が少ないため往復することもないだろうという話だったがこれから同棲するのだ。英護は「それじゃあお言葉に甘えて」と下手に出て数人の車で荷物を運ぶことになったが本当にカバン2つ分。それで全財産だという。
彼がどんな家で暮らしていても偏見は持たないつもりだったがよく機能してると感心するほど趣あるアパートであった。部屋の中を見ることは敵わなかったがそこはでしゃばらず、自室に英護の私物を好きに置かせた。
1つ目のカバンの中身の大半は衣服で、タンスの余った部分にしまってもらった。あと目立つものと言えば…ノートパソコンくらいだろうか。携帯でなんでも出来る時代、数人も仕事でパソコンは使うがなんだか意外に感じだ。
特につっこむことはしなかったが英護は穏やかに微笑み「これも仕事道具」なんス。とだけ教えてくれた。
そうしてあっという間に、一晩の間に同棲するための用意は整ってしまった。
今までも半分同棲していたみたいなものだったし、生活スタイルは何も変わらない…と思っていたのは浅はかだったらしい。
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