えぴ6

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えぴ6

数人が気絶していた時間は20分ほどらしい、英護がそう教えてくれた。 目覚めたら汗や汁まみれだった体がキレイに拭かれていて驚いた。もちろんやってくれたのは英護だ。ほんの一瞬でもやましいことされてないかと疑った自分が恥ずかしい…なんて優しい青年なんだ。あとイケボなんだ。 「安堂さん、連絡先交換しましょ。」 「はん?」 それはなぜ、と首を傾げると笑顔だった英護は初めて不満そうに頬を膨らませた。 「さっきまた会ってくれるって言ったじゃないですか!俺、嬉しかったんですよ。」 「わわ私が、そんなことを?」 うーん、急いで思い出しても全く記憶にないが気を失う直前何かを約束したような…それがまさか? 「あれは嘘だったんですか?それとも俺のえっちが下手すぎて嫌いになりました?」 拗ねた子供のような声も放っておけないほど可愛い、まさかそんな訳ない! 「き、君さえ良ければまた…よろしく頼む…?」 こういう時の返事はこれでいいのか?語尾が尻上がりになる。すると再び英護は満面の笑顔になった。 「それじゃ、はい!URコード教えてください?」 「ゆ、ゆーあーる?」 「…安堂さん、携帯見せてください?」 「これだが…」 「はいはい画面ロックも無しっスか…はいこのアプリタップしてここをこうしてこうで、はい俺の連絡先登録しました。」 「はええ…」 若者は、やはり…頼りになるなあ。未だに自分の携帯番号も覚えていない。
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