えぴ57

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えぴ57

あ、ああ…分かりやすく詰んでいる。 ここで痴話喧嘩なんて始めたらご近所迷惑甚だしいと判断した数人は素早くドアの内側に入り鍵を締め、じ~っくりと英護の方をチラ見。 壁にもたれ腕組みで玄関待機していた英護は拗ねた様子で唇を尖らせ、無言でタイムアップしたスマホの画面を見せつけた。 「時間切れっスよ数人さん。」 その声は怒ってるようではないが、不満そうである。今度こそ数人はすかさず頭を下げ腰の角度は内角90度の美しいラインを描いていた。 「時間を守れず、申し訳ないっ…」 「薬局とかなら余裕の時間設定にしたつもりスけど?」 「それは、その…」 言い澱むのは、自分の下らないプライド。 そんなものを守るためにこれ以上彼に不安感や悲しい顔をさせたくない…はっきり言うぞ、安堂数人っ! 耳まで赤くした数人は意を決して顎を引き、顔を上げることは出来たものの目はつむったまま正直に答えた。 「女性の店員で恥ずかしくてっ…別のコンビニまで移動していたら遅くなってしまったんだ!」 「…………なるほど。」 数人が恥ずかしさのあまり固く目をつむっていたのは正解だろう。修学旅行で自ら穴開きショーツを購入して履いて誘ってきたくせにテ○ガ1つ買うのは恥ずかしいのか、と数人のちぐはぐな性質が楽しくなった英護は心底サディストな微笑をたたえていた。それも反応を確かめようと数人が薄目を開けた瞬間、不服そうな顔に戻す徹底ぷりである。 「それで?どんなの買ってきたんスか。」 「あ、ああ種類がよく分からなくて…」 明確な指定がなかったため困ったんだ。 数人はいそいそとコンビニ袋からテ○ガを取り出して英護に見せた。 「スクイーズチューブっスか、なんていうか…ド淫乱なあんたにはお似合いっスね。」 少し機嫌がよくなったのだろうか、小鈴を転がすようにコロコロ笑われたがこちらはなんのこっちゃ、である。露骨に口を開けて呆けてみせた。 「じゃあそれ、こっちに貸してください。」 「ああ、どうぞ。」 腕組みを解いた英護は片手にスマホ、もう片手には見慣れたローションボトルを持っていたことをここで知る。動揺してる間に彼はかなり慣れた手つきで封を開けるとおもむろに、ローションボトルの先端をチューブに突き刺し結構な量を注いだようだった。 「…???」 「初めて使うんでしょ?この方がもっといいんスよ。それとも約束忘れました?」 「……っいや…」 わ、忘れられるわけがない。彼は私に使用するために私自身にて○がを買ってこさせた。 だがしかし、己が性欲に貪欲であることは自覚があっても「ではよろしく頼む」と玄関でパンツを下げる度胸は持ち合わせていなかった。
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