えぴ6

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その後、英護を最寄り駅で下ろして別れた。 一段落した数人は駅の駐車場でコーヒーを飲んで落ち着く。まだ先程の濃密な時間が忘れられないし現実だったと信じられない…。 ホテルを出る際、英護は割り勘を提案してくれたがここは引いちゃいけないと思って全額払った。それでも尚、英護は次こそ割り勘っスよ?と笑っていたので本当に真面目な青年だ。 それにしても本当に夢のような時間だった…。自分が同性と、男とせっくすする日が来るとは思わなかった、それが今日と知らなかった。彼の指も舌も唇も声も何もかも気持ちよかった…。この感覚が「恋」と呼べるものではないことくらい分かる。でもまた何度でも何度でも今日のような日があって欲しい。離れたばかりの英護に押し倒され、きすをされたい願望があるから未練がましく駅に残っているのかもしれない。 ピロン♪ 「む?」 英護からの連絡か?と期待して携帯に目を落としたが、顔からサッと血の気が引いた。 「っ…!」 英護と別れて30分ほど経った頃だろうか、通知は「ぼいす」の新しい動画の更新だった。 …こう考えることさえおこがましく、リスナーにも配信者にも失礼かもしれない。 だがどうしても今、自分は同時に二人の人間を好きになってしまったような…そんな罪悪感で、いっぱいなんだ……。
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