えぴ59

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えぴ59

英護と同棲してからの生活は本当に「順風満帆」である。なんらトラブルのない平和な日常。穏やかすぎる日々にも思えるが夜はとても刺激的で飽きることなく楽しい。 心からこの日々が続けばいいと願っており満足している。今日も学校で帰る直前に矢車先生にお食事に誘われてお断りしたが、そろそろ1度はいかないと失礼と思いつつある。 だが今日に限ってはいつものなんとなく断る感じではなく明確に理由があってお断りした。それに必要なものを家の近くのコンビニで購入した数人は一刻も待ちきれない、と喜びに微笑み期待に胸を膨らませて帰宅を急いだ。 広告でなんとなく見た「プレゼント特集」を見て思い出した。去年のクリスマスは二人で祝おうとかプレゼントとか、それどころではなくなってしまった。そしてクリスマスは過ぎてしまったが、サプライズで何かプレゼントするのはどうだろうと考えた。 英護はお金がかかることに非常に敏感で大人だからと高いものを、と何かしらブランド物など贈ったところで恐縮して使わないだろう。それにアクセサリー関係などは彼の方がよっぽど優れておりセンスがある。彼に似合うものをと悩んで買っても好みじゃなければ押しつけるのも失礼だし可哀想だ。 それじゃ消え物を、と考えたが1度で終わる食事などではちょっと味気ないなと思った。できればゆっくりと時間を使って、思い出になるような…そこでふと閃いたのだ! 彼は、英護は旅行好きだ。サプライズ…ではなくなってしまうだろうが5月の大型連休に向けて旅行を計画するなどどうだろうか。 まだ世間はようやく桜の話題がポツポツ上がる頃だがGWの予約は急いだ方がいいだろう、と旅行雑誌を買って英護に打ち明けるのを楽しみにしていた。 基本自分より帰宅の早い英護だ、今日に限って帰りが遅いということも早々ないだろう。 夕食を終えるまでは何事もないフリして、寝る前のリラックスタイムに話してみよう。 きっと「どんなブランド物が好き?」と尋ねるよりも彼は喜んでくれるだろう。ああきっと良い旅行になるだろう、早く帰ろう… …と、思えばこの時から予定は狂い始めていたのかもしれない。
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