えぴ8

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えぴ8

プライベートではあまり行くことがない焼肉なるものだが、大満足の結果だった! 英護が迷わず食べ放題コースにしようと提案した時は流されるままに頷いたが、見てるだけで気持ちのいい食いっぷりであった。 よく、テレビなんかで焼肉屋で元を取るのは難しいと聞き及んでいたが、多分彼は元を取っただろう。 元々少食の数人と合わせればトントンだろうが、後悔のない食事会だった。肉は美味いし、英護も終始ニコニコしていて「超うまいっスね!」と話しかけてくれるから、普段より満腹になれた気がする。 まあ1つだけ言えることは、今朝の歯磨きとシャワーは全て無に帰したこと、そんな些末なこと忘れるほど有意義な時間を過ごせた。 そしてお会計、英護が金欠なことは知っているし年上の数人は気にせず奢ろうとしたが、レシートの奪い合いの死闘は想像にお任せする。お互い1歩も引かず、なんならレシートの8割は無惨に散った。しかし結果は数人の勝利。 「うううぅ…すみません…」 負けた英護はレジ横で小さくなっていた。 見てくれはヤンチャだが、奢られる経験が少ないのだろうか。すごい手こずったぞ。 以前後輩の教師と教育係の義務として食事をした時はレシートなんて見向きもせず、自分が奢る旨を伝えると「あ、はい」とだけ返事されたので最近はそういうのが主流だと思っていた。 気分よく店を出て、次はどこへ行こうと話になった。一応近くの劇場は調べておいたが。 「俺、海外のお土産売ってるところ見るの好きなんです、近くのショッピングモールにあるんスよ。」 彼の返事は意外なものだった。数人は少し目を丸くさせたが、英護の希望に沿って愛車に乗り込んだ。
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