えぴ8

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「ほう…」 趣味で博物館などよく行く数人だが、それと同じくらい興味を惹かれた。 稀に訪れるショッピングモール、しかしテナントの中に海外の商品が売られてる場所があるなんて知らなかった。 異国風の店内BGM、異国風のアロマの香り、文字の読めない異国の菓子箱、文化を感じられるカラフルな異国の小物たち…なるほど、見てるだけで楽しい。まるで本当に海外旅行をしてる気分、日本じゃない気がする。 「これはインドの民芸品スね、こっちはフランスのお菓子、うまいんスよ。それはオランダです。」 てっきりそれぞれで見て回ると思っていたら英護は隣にピッタリとくっついて色々解説してくれるから、尚面白い。 「詳しいんだな。」 「へへ、言ったでしょ?好きって。」 「大学の専攻もそうだったのか?」 「ん…いや、趣味っスよ、趣味。」 特に個人情報を引き出すための質問のつもりではなく世間話のつもりだったが、明らかに英護が返答に困っていた。誰だって明かしたくない話の1つや2つあるもんだ、無意識だったが気をつけよう。 「この楽器はどうやって演奏するのだ…?」 「これ変な形で面白いっしょ。ここをこうして…」 ビヨビョヨヨンヨン♪ 「おお?ははっ、なるほどこういう音なのか。」 「ふふふふっ」 小説でのデートの定番と言えばクラシックを聴きに行ったり、観光名所を訪れるものだと思っていたが…これはこれでまた、楽しい時間を過ごせた。
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