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数人は動揺してしまい、とても運転できる精神状態じゃなかったのだが、しっかり運転免許証を携帯していた英護が代わりに運転してくれた。いつもなら同一の保険に加入していない他人に愛車を任せたりしないが、このままでは下半身が痛くて自力で帰ることも出来ない。救助されている、と納得することで彼に車の鍵を任せた。
車を所有していないと聞いていたので、てっきりペーパードライバーかと思っていたが英護の運転は安定して乗り心地良かった。
「バイトでマニュアルとか運転するんで。」
そう言ってニッと笑ってみせた英護はずいぶん余裕がありそうだ。数人の数人は落ち着かず、助手席でソワソワとしてしまい会話の返事もうわの空。だって不敵に笑うその唇、ハンドルをしっかり握る逞しい腕、繊細なドライブテクニックを披露する指が、あと一時間もすれば自分の体を愛撫すると理解すれば落ち着いてなんていられない。
早く…早くホテルについてくれ
そう思ったのはどういう意味だっただろうか…
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