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特にトラブルもなく英護の運転で、前回訪れたホテルに到着した。幸か不幸か、まだ部屋は全然空いていた。だが前回使用した部屋のランプが点灯してるのを見ると邪推してしまい、妙に生々しくて頬の上が熱くなった。
相変わらず廊下を歩くのに数人は身を隠すように背中を丸め、英護は堂々と先陣を切っていた。
「先入りますね。」
言いながら部屋のドアを開けた英護は慣れた手つきで入口の機械を操作し、まだびくびくと怯える数人が素早く後ろ手で扉を閉めた。
どうしても、教師である自分がえっちなホテルにいるのが悪いことをしているようで気まずい。
「よし、それじゃ~後でお尻の洗い方教えてあげますから。先ちょっとシャワー浴びて来るっス。このままヤると制御効きそうにないんで。」
「んむ」
ちゅ、と一瞬だけ唇に触れた軽いきすは、てっきりニンニクや炭火の香りがすると思いきや意外と普通で驚いた。
それはそうとしてなぜ彼は私の尻拭いを申し出たのだろうか?今回のデートで私は何か重大な間違いでも犯していたのだろうか、なんにせよフォローしてくれるのはありがたいから甘えておこう。
「ありがとう…」
「ん、いい子で待っててくださいね?1人で始めたら拗ねますよ。」
かっこいいイケボでそう言った英護は真っ直ぐシャワーに向かおうとするから、数人の心はひどく動揺した。
昔から嘘をついたり秘密を明かすのは上手じゃない。バカがつくほど真面目でいつもパニックになる、今回もそうだった。
生唾を飲み込み、乾く瞳。手汗で濡れた手を胸に置いて、慎重に深呼吸した。
「き、聞いてくれ…英護。」
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