えぴ2

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それから数人は「ぼいす」の熱心なリスナーになった。 ぼいすは低音囁き声で人気の配信者で、母性をくすぐる甘いような、本能を刺激するセクシーな声の男性だった。 実写を投稿することは1度もなく、最初期の動画は咀嚼音だがシチュエーションボイスを投稿してから爆発的に伸びて、今や登録者が四万人を超える。コアなリスナーが多く、ファンサービスも欠かさない。 数人は、最初はぼいすの声をオカズに熱心に自慰していたが、ふと気づいた。 ぼいすが投稿する音声のほとんどは「胸責め」だった…。 初めはそれでも構わず抜いていたが、段々リアリティーを欲してしまった。リクエストなんて出来るわけがない、コメント欄は女性で溢れているのに男の自分がコメントする度胸なんて皆無だった。 男の乳首はなぜ存在するかと疑問に思うほど無感覚だったはずだが、ぼいすの声を聞きながら弄るうちにみるみる開花して…今では男のイチモツで絶頂するよりも、胸でイクことの方が多い。1番のメリットは、胸でイク場合だけは連続して射精できるからだ。 ぼいすに出会ってから数人は日々の更新を楽しみに、充実した生活を送っていた。 彼の声さえあれば、心も体も満たされる。しかしどうしても時々、独り身の寂しさを覚える。だが女性と付き合うことはおろか、彼の声以外では物足りない。やっぱり独り身に甘んじるほかなかったのだ。 そんなやきもきとした安堂数人を、恋のキューピッドは見ていたのだろうか…?
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