えぴ22

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職員室に戻り、すぐ携帯を確認するとやはりもう英護は家に来ているようだ。14分も前に「安堂さーん?」のメッセージで止まっている。急ぎ、遅くなった理由を簡潔にまとめて送信した。近頃めっきり寒い、立ち尽くした英護の心境を考えると胸が痛い。 携帯に意識が集中していると、今日も教頭が尻を一撫でしてすぐ離れた。 「安堂くん、おしっこでも我慢してるのかぁ?イヤらしい顔してるぞぉ?」 「いえ、用事があるので帰宅します。」 上の空で返事し、返信を待つより帰宅を急ぐことを優先した。鞄に教科書を詰め、キビキビとした足取りで職員室から立ち去った。 バタン、ガチャガチャ… 車でシートベルトを装着した瞬間、返信がきた。てっきり怒ってると思いきや英護は「はーい!安全運転で帰ってきてくださいね!」とメッセージに可愛いスタンプを添えていた。「本当にすまない」と返信したが、交通規則の重要性を忘れるところだった。 「すぅ…はあ、よし。」 深呼吸をしてから車のエンジンをかける。
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