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えぴ23
数人はコーヒーを、英護はココアを嗜みながら隣同士でソファーに座り、しばらく他愛ない雑談してると心も落ち着いてきた。
「…へえ!安堂さんって全教科教えられるんスか!」
「まあな…。」
帰りが遅くなった経緯を話してる最中でそんなことを打ち明けた。子供の頃から勉強が大好きで将来の夢は親と同じ教師。教える者として全ての教科を勉強するのは当然と思っていた。
「じゃあ、それじゃアレも分かるんスね!えと…算数とか!」
「数学か?数Bまでなら難なく教えられるぞ。」
「そっかそっか、高校はスーガクでしたね、失礼しました!」
「……?」
何か誤魔化された気がするがそれが何とは分からない、多分気のせいだろう。
それに英護が数字の話をしてくれたことで思い出したことがあり、鞄から財布を取り出して中身を彼に渡す。
「これを頼む。」
「なんスかこの封筒?」
突然手渡されて首を傾げつつも封を開くと中身は十万円。少し早いが彼になら安心して預けられる。てっきりお金の管理に厳しい英護のことだから再び抵抗される可能性も考えていたが、杞憂に終わった。彼は恭しく頭を下げ、封筒を高く掲げて丁寧にカバンに仕舞った。
「任せてください、安堂さんのご両親にお届けするお土産、真剣に考えてますから!」
…両親に今年の土産は期待してくれとハガキを送ろうか、いや英護にとってプレッシャーになるだろうからやめるか。
「旅費も入ってるから、全部土産に使わないように頼む。」
「それは…うぅ、分かりました。」
一体十万円で何を土産にするつもりだったんだ…?まあいい、快感でぐちゃぐちゃになって忘れる前に大事なものを渡せて良かった。
あとヤルことと言えば…
「安堂さん…今キスしたらコーヒーで苦いんスかね?」
「…確かめてみればいいだろう。」
英護の声色は一瞬で雰囲気をムーディーに変える。色っぽい空気に気分がノッた数人も、らしくないはしたない表情で誘っていた。
英護は包むようにして肩を抱き、安らいだ微笑みで顔を寄せる。ああ、キスされる…自然とまぶたが重たくなった。
ちゅ…
「ん…」
いつまで経っても唇に濡れた柔らかい感触が触れるとビリッと弱い電流が走ったようで声が出てしまう。
ちゅ、ちゅ…
「ふっ…ぅ…」
「…にがい♡」
まだ唇がくっつく距離で、楽しそうに笑う英護は完全にエロスイッチが入ってる。このままソファーに押し倒されそうな勢いだ。
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