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わいわいガヤガヤ…
さすがに長距離移動のバスの車内は生徒もはしゃいでいた。数人もそこまでは抑制するつもりはないし、数人のクラスが1番バカな行動をする者はいなかった。
分かっていながらも数人は前の席で凛と座り、常に気を配っていた。
このバス移動のあとは空港を歩き、飛行機に乗り換え。さらに先の空港を渡りバス移動を経てようやく目的地に到着する。
大人であれば、移動するだけで疲れてしまうだろうが若い彼らは楽しみが勝って何も気にしないだろう。
「先生…」
ふと停車時間に毛利 学楽が隣にやってくる。彼は学級委員長だ、何かあったのだろうか?
「どうした。」
「すみませんバス酔いしちゃって…この席に座ってもいいでしょうか?」
数人の座る前の席はタイヤの上、振動も少なく窓からの見晴らしもよい。
「ああ、窓際に座りなさい。念のためエチケット袋を携帯するんだ。」
「はいっ…!ありがとうございます!」
毛利は非常に嬉しそうに顔を綻ばせた。
立ち上がるついでに数人も後部座席の生徒に声をかける。
「体調の悪い者は挙手したまえ。酔い止めは服用したか?万が一を考えてエチケット袋を手に持つように!」
全員ちゃんと話を聞いていたので、体調が悪くなったのは毛利だけのようだ。多少車酔いしても次のサービスエリアでの休憩でバスを降りれば緩和されるだろう。
そうしてバスは順調な手順を踏み、空港まで走っていく。空港でも大きなトラブルなく、大人数の生徒を引き連れながら大移動。毎年経験する数人はさすがに慣れた様子で無事全員を空の旅にいざなった。
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