第三夜 冠を脱いだ者

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熱く、うるみ、限界まで引き伸ばされた媚肉管の括れが雁首を締め付ける。菊座も同様に十兵衞の肉茎に吸い付いて根元を離さない。 昂ぶり、熱い身体から白い湯気が淡く立ち上る様が見えただろうが、生憎と庵には(めくら)とその身体の下に覆い隠された男が一人。十兵衞は戦場以上に身体の隅々まで気が巡るような感覚を覚えていた。 「ゆき」 身体の下へ抱き込んだ、愛しい者の肩から胸を伝い腹まで撫でていく。ここは骨、此処は肉、と、手つきは撫でるというよりも按摩の時のような探るものになる。 手は下へ、下へ。 「は♡ んあ♡ はぁ♡」 やがて、肉の下に骨とは違う、ぎっちりと詰め込まれた様な固さを探り当て十兵衞は口角が上がるのを抑えられなかった。 「此処(ここ)が、おぬしの子袋(こぶくろ)になるんだな……」 「へ♡ は♡」 「何を言うかと思うか。儂もだ。……だが、稚児(ややこ)()らずとも、儂にとってゆきの此処は……子袋じゃ。いや……子種袋(こだねぶくろ)か」 「こだね……ぶく、ろ……♡」 十兵衞は篤実へ語りかける間、魔羅(まら)を動かさなかった。息を吐き、先刻腹を探った手で汗ばんだ篤実の額を撫でる。絹糸(けんし)のような髪だ。強く引っ張れば千切れてしまいそうな。都から己の元への旅路で、この髪が無事であったことを思うと、十兵衞の股座はさらに苛立った。 「じゅう、べ、え」 篤実が声を震わせながら、もぞもぞと身体を捩る。十兵衞の固い下腹に、しとどに濡れた、芯の入らない篤実の陽物(ようもつ)が押し付けられる。 「どうした、ゆき」 「ん、ぅ♡ は♡」 態と。態と分からぬふりをする。腹を一杯に十兵衞の魔羅で満たされ、浅く速い呼吸を繰り返し、涙や涎を溢す度に舐め取られるだけでは満たされないと分からぬ己ではない。 「言うてくれ。ゆきの声で聞かせろ」 「あぅ、あ♡」 媚肉壁がきゅんきゅんと蠢いて魔羅がしゃぶられる。このまま動いて思う存分突いてやりたい衝動を、奥歯を噛んでやり過ごしながら十兵衞は大きな舌で篤実の頬を舐め上げた。 「若君に斯様な無礼、腹を切っても足りん。だが……ゆき、ゆき」 篤実が大きく胸を喘がせ、十兵衞の首に縋り頬へと顔を寄せる。その唇から漏れる吐息は甘く、こぼれる傍から十兵衞の白い毛皮を焦がした。 「う……ごい、て。十兵衞…じゅうべえ♡」 喘ぐあまりに舐め回されるばかりだった篤実が十兵衞の黒い鼻先に唇を押し当て、舌を伸ばし舐めて返す。十兵衞も応えるように口を開き、篤実の細い顎から首筋、喉を舐め、控えめに尖る喉仏を甘噛みした。 「あっ♡ は♡ は…」 「う゛る…う」 纏わり付く寂しがりな肉孔から、ぐぷん、と一段だけ雄楔を引き抜き、再び腰を叩きつけた。 どちゅんっ♡♡♡ 「ひっ ぉ ごっ♡」 「はあっ ぐっ」 口を開きしなやかな弾力と抗い難いにおいを放つ首筋を解放し、代わりに下から肉壺を貪るように突き上げる。 ぎゅぽっ♡ぐぼっ♡ぎゅぷっ♡ぶぱっ♡ 「あ゙ッ♡ ひっ♡ いッ♡」 「ッ―― ゆき ッ」 絡み付く媚肉を引き摺り、返す動きで奥を突き拡げる。四肢をぶるりと戦慄かせ、腰を叩きつければ体液が泡となって溢れ出した。 肉筒の中で雄の凶器はぶるりと震え、一度目の開放が迫り上がる。 「あい、ん あっ じゅ べえっ へうっ♡ ひっ♡」 十兵衞も篤実も、熱い。篤実が十兵衞の白い毛皮を握りしめる痛みに顔を顰めながら、ばちゅっばちゅっと淫肉壺に誘われるまま腰を叩きつけ続けた。 「気持ちいい…こんな、月並みな、事を…言いたくねぇのに ッく…あああっ!」 爆ぜる熱が、先端より噴き出す。腕の中に捕まえた者をメスに見立てて、中をより泥濘んだ肉壺にするために奔流する。 「ッ――! ひ ぉあっ♡ あ♡ ひあ♡」 びゅるびゅると十兵衞の肉茎から叩きつけられる熱液が篤実の腹奥を濡らすと同時に、根元が膨らんでいく。 「ゆき …爪牙の――儂の逸物は人のとは違う」 篤実の頬を撫でながら、根元の膨らみで菊座から抜きたくても抜けなくなったことを感じ十兵衞はまた首筋や肩を甘噛みした。 「ち…がう? なに じゅうべ ぇ ぁ、あ♡」 空いている手で、篤実の陽物を探り、にちにちと捏ねて男の快楽を呼び起こそうと試みる。すると篤実はビクンと身体を震わせ、足を突っ張らせた。 「抜かぬし、抜けん。…ここから、もっと…熱く、濃い子種を出す」 十兵衞の手の中では、柔らかいままの熱いちんぽがぴゅくぴゅくと薄い体液を漏らした。 「嗚呼…ゆき、お主はこんな物しか吐けねぇのか」 「ひうっ あっ しょれ…は…」 「責めてねぇ――哀れんでもおらん」 固く反り返ったままの雄肉楔で子袋を突き緩めながら、篤実の無様なほどにふにゃふにゃとした陽物を手で刺激し続ける。 「可愛すぎて、喰っちまいてえ…ゆきの、どこも、かしこも」 「ふ、あ あ♡」 ひとりでにうねる肉壁が、十兵衞の先走りと篤実の密でじゅぷっ♡と音を立てる。声色と体温、においはますます獣じみてゆく。 「ゆき…ゆき、嗚呼。此れからは儂以外に泣かされることが無いよう、儂が」 言葉とは裏腹に、熟れた淫肉壺に包まれた十兵衞の魔羅を揺さぶって、腹を押し上げる。他の臓物が押し潰されそうなほどに。 「じゅ、うべっ え ひっ おあっ あ゙♡」 「しあわせにす、る…ッうあああああっ!」 頸椎から背骨がカッと燃えるような昂ぶりと共に、再び十兵衞の魔羅から熱いものが迸る。それは先刻のものよりも粘つき、重く、十兵衞の魔羅の中をぶりゅぶりゅと押し広げるように溢れ出し、噴き出した。
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