朔の夜には

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 生温かく、そしてとても柔らかい唇が、俺の唇に重なってきた。 (柔らかい)  そんな感想の後、彼女の体を離し唇も離れた。 「なっ、なに?」  その問いに彼女は笑顔で「子猫を助けてもらったお礼と、魔法のおまじない。今夜は、満月ですから」と囁くと、「また、明日。この時間に」と言って立ち上がり、垣根の向こうに消えた。
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