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「満月の夜。魔法のおまじない、覚えていますか?」
彼女は目に涙を浮かべながら聞いてきた。
「あ・・・ぁ・・・」
言葉にならない返事。
「今夜は朔。新月で魔法が切れる日。あの日、あなたの運命は満月の日に終わっていた。それを、私が助けました。朔を迎えるまで時間はあります。これからは、私と一緒に・・・」
言葉の終わりは聞こえなかった。
どう返事を返したのかもわからない。
その記憶はもう、無いから。
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