朔の夜には

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「しゃあないなぁ」  誰に聞かす訳でもない声で言うと、その子猫を両手で抱き抱えたまま部屋に戻る。  明け方とはいえ、秋雨は冷たく、風も冷たかった。 「猫に包帯?子猫には大きいか?」  自分一人しかいない初老男の部屋で、まさかの子猫に話しかけると言う行動は、傍目から見ると寂しいものだ。
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