朔の夜には

7/26
前へ
/26ページ
次へ
 傷の手当てを終え、動物病院に連れて行くと決めたら、妙に愛着が湧いてくるものだ。 「ちょっと待ってろ」  子猫に人間の言葉が通じる訳は無いと知りながら、そう声を掛けて適当な箱に入れる。  自分は台所に行き、ほとんど何も入っていない冷蔵庫を開ける。 「これは奇跡だ」  飲みかけの牛乳が残っていた。  その牛乳を皿に入れ、子猫の前に出してやる。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加