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「奥さん、どうして実家に帰っちゃったんです? 喧嘩でもしました?」
「出産のためです。6月が予定日なんで」
「全然知らなかった。そりゃまた、おめでとうございます」
「清原さんのところはどうしてなんです? 週末にイケメン旦那さんを放って どこへ行っちゃったんですか?」
この問いに、しばし口籠る彼。同じ質問を返しただけなんだけど、ちょっとマズかったかな~ と後悔していたら
「東京へ。韓流アイドルのドームツアーが2daysあって、喜び勇んで出かけましたよ」
「韓流!? 奥さんのイメージとちょっと違うな……」と言いつつ、その姿を思い浮かべる。栗色のストレートヘアを後ろで束ね、スレンダーな体をスーツとヒールで包んで出勤している彼女なら小洒落たバーで流れている様なジャズがお似合いだけど、彼女の旦那はジャ◯◯系。男の好みはそっちなのか…… と納得していたら、清原さんが愚痴を零し始めた。
「彼女は仕事もできるし稼ぎもいいし僕のことを束縛しなくていいんですが、もうほとんど【同居人】なんですよね。結婚してまだ1年にも満たないのに寂しい限りです。お子さんが出来て着実に家庭を築いている前田さんが羨ましい」
「傍から見たら、美男美女の非の打ちどころのないカップルに見えるけど、色々あるんですね」
「前田さんとこって週末になると二人でよく出掛けてるでしょう? あれにも憧れます。自分らなんて、いつも別行動ですよ。彼女は僕を置いてK-POPのオフ会に顔を出したり、ライブに行ったり、この前なんか一泊二日で韓国に弾丸ツアーにも参加してました。もうこんなことなら自分も遠慮なく 今まで我慢してきたことを やっちまおうかと思ってます」
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