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妻に見せびらかす写真を撮るため、俺は清原さんの隣へ いざると、身を寄せる。そして、紅潮した彼の顔に自分のそれを近づけるとシャッターを押した。
そして、すぐさま画像を確認する。
なんか、中心が ずれてる。しかも、清原さんの視線が あらぬ方向に。申し訳ないと思いつつ「もう一度、いいですか?」そう断ると、今度は彼の肩に手を置いて頬と頬がくっつく寸前まで近づけた。
今度の写り具合は上々だった。俺のニヤついた目、清原さんの恥じらった表情が対照的で面白い構図になっている。にしても、彼の色気の凄まじさといったら! 画面から滲み出る色香に生唾を飲み込んだけれど、当の本人は「酔った男二人の絵面ってインパクトがありすぎる」と、吹き出していた。そんな様子に、更なる欲求が頭をもたげる。
「あともう一枚、ダメですか? 今度はもっと はっちゃけた感じのを撮りたいんです」
「はっちゃけた?」と、首を傾げた清原は、目を三日月形にすると「いいですよ」
承諾を得るや否や、俺は再び顔を近づけた。すぐ横には、先程【桃】と称した初々しい頬が。俺は花に近づく蜂のように吸い寄せられると唇を寄せた。ほっぺにチューなんて、妻にもしたことない――― そんなことを思いながらシャッターを押すと、清原さんは かなり驚いた様子。
「調子に乗ってスミマセン。その頬っぺ、ぺこちゃんみたいに真っ赤で可愛いかったから」
「ぺこちゃん?」
「知りません? ミルキーの袋についてるでしょ。でも、男にチューするのって初めてだ」
「前田さん、かなり酔ってますね」
「酔ってますね、それも酷く。でも、清原さんだって同じでしょ?」
すると、清原さんは真剣な表情で見つめたあと「ええ、かなり」
『うわっ、イケメンの真顔って迫力ある』と、ドキドキした時だった。彼はグイッと詰め寄ると、俺の頬に両手を当てた。
「どうせなら、あと一枚。もっと凄いやつ、撮りません?」
次の瞬間、彼の顔が視界から消えた。否、近づきすぎて見えなくなった。そして、唇に柔らかくて弾力のある物が触れてきて……
そう、俺はキスを返されたのだ。しかも、唇に!
右に左に角度を変え、彼の鼻孔から熱い吐息が漏れ始めると、身の危険すら感じて掌で彼の胸を押した。しかし、彼は無視して舌を差し込み荒らし始める。
まるで恋人にするようなキスをされた俺は、酔った頭が更にボ~となり、なすがままになった。つまり、年下のイケメンにセックスまがいの口づけを受けて蕩けてしまったのである。
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