14人が本棚に入れています
本棚に追加
それからすぐ後、ソウヤはミヤジマ技研内のアンドロイド専用リペア室へその身を移し、裸でオペ台へ仰向けになる。
先ほどまで居た柔らかなベッドとはかけ離れた、硬く冷たい金属の感触を背中に感じる。
博士の秘書兼助手としてこの一年間、この場で数々の同胞たちの開発やリペアに立ち会い、研究所から送り出してきたが、まさか自分が再びここへ寝かせられる日がこようとは、夢にも思っていなかった。
寝そべったまま、ソウヤはミヤジマ博士の挙動を目で追う。
博士は既にオペ用スクラブの上下姿になっていて、ソウヤの視線に気付くと緩く笑い返す。
そして準備を続けていた手を止め、不安げな面持ちで見上げる彼の頬を優しく撫でた。
「…安心しろ、ちょっと寝てる間に終わるから」
「もう二度と目覚められなくなる、なんてことにはならないでしょうか…」
「心配すんな。お前は散々俺の隣で見てきたはずだ、俺は完璧な仕事しかしない。俺の辞書に"ミス"の文字は無ぇぜ」
「はい…」
頭にぽんぽんと手を置き、博士はソウヤから離れていく。
オペ台にドーム状の透明なシールドがかけられ、アンドロイド用の麻酔ガスが内部へ注入される。
博士を見つめていたソウヤの瞳に瞼が被さり、目が閉じていく。
ソウヤの意識が無くなったことを確認すると、博士はメインモニターへ向かった。
翌日の早朝、ミヤジマ博士の私室のインターホンが鳴り、やはり応答を返す前にスライドドアが開く。
ドアの向こうに立っていた人物が、中へ進み入り正面へ立つと、デスクチェアに腰かけていた博士はにやりと笑みを返した。
「戻ったか。どうだ? 生まれ変わった気分は」
「…まだ実感がありません」
「身体の具合は? 動きに違和感はねぇか?」
「激しく動いてないので、何とも言えませんが…今のところは昨日までと変わりないと思います」
未明までかかったオペを終えたソウヤは、可愛らしいリボンタイの秘書姿から、ダークカラーのネクタイを締め、洗練された黒いスーツ姿へと様変わりしていた。
最初のコメントを投稿しよう!