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国の定めに従うまでと、俺は夜霧と共に戦禍を駆け抜けて来た。しかし夜霧は俺を裏切り、事もあろうに掩殺の矛先でもある宮浜空輝の手に落ちた。確かに宮浜空輝の神経、精神を奪い、俺を射殺さんと突き刺したまでは分かるが…。「むつかしい話にはなるが、宮浜空輝が夜霧の心理である以上、あなたを突き刺した夜霧は宮浜空輝の心理である訳です。あなたの斬り捨てて来た人間の血を吸い過ぎた夜霧はあなたを恨んだのです。」見知らぬ白き光を放つ、金髪の青年。軽装にして、短刀を携えるその青年は俺を射抜いていた。「お前は誰だ?宮浜空輝は今、夜霧なのか?」俺は問うた。「わたしはルーニャン。森の戦士であり、長老です。ただあなたに役立つ情報を与えたまでです。それでは…。」ルーニャンと名乗る青年は眩い光を鏤め、消え去った。「ルーニャンっ!」夜霧が宮浜空輝とあっては、突き刺された事にはならず、俺は奇しくも生かされたのだった。
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