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宮浜空輝は消えていた。ルーニャンと同時にだろうか消え去ったのだ。「望むままに血を与えよ。レフィル…それで良い…。」夜霧がそこにあり、やがて声は消えた。俺は暫く夜霧を見つめていた。夜霧はやはり俺を恨むだろうが、夜霧は妖刀であり、付喪神としても解せない。俺は夜霧を拾い上げ、鞘から抜いた。「底冷えのする太刀だな。さて…殺生戒に倣い、人の痛みを知れと言うだろうか?俺はそれなら痛まない。俺も人だからな。痛むことはないだろう?」俺はとある滝に立ち寄り、仰いでいた。「御免よ!御免よ!」俺は泣き泣き、巨大な滝で、轟々と飛沫を上げる滝で夜霧を洗っている。「誰か!誰か見て下さい!俺は…俺は痛くも痒くもありませんからっ!」心は晴れやかであり、開かれた滝へ向かう道は拓かれ、水面が底まで割れていたんだ。「何を俺に望むか?」天に掲げたる妖刀夜霧は奇しくも何も言わず、俺を図るばかりだった。「ルーニャンです!レフィル!大変だ…。パワーマンが大ピンチです!」夜霧からルーニャンの声がする。俺は救われたのか。ルーニャンの声がする方へ足が向くのだった。「とーりゃっさいっ!!あっははっ!」俺は勇ましく、夜霧を振り翳し、高らかに笑んでいたのだった。
-完-
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