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帝国へ(帝国に到着1)
それから2日後の夕方、私達は、予定通り帝国へと到着した。
凄い!!人が多い!!
帝国へと近付くにつれ、街並みも自国とは全く違い、落ち着いた色合いでとても豪華に見えた。
歩く民も、これまた不思議なのだけど、とても質のいい物を着ているような気がするし、とても、オシャレに見えた。
物見遊山で馬車の窓にひっついて、街をキョロキョロと見ていた。
「そんなに珍しい物ある?」
カレンが呆れ顔で私を見ながら、私が何を見ているのか覗きに来た。
「あるわよ!私、帝国に来たの初めてなの!」
「マジで?」フィー。
「ええ!?」カレン。
「だって、今までは殿下の側を離れたくなかったし、帝国へ向かうのは国務だから、私は行く必要ないでしょ?勿論私以外の家族は、何度か行っていたけど、私は初めてなの」
「言われみれば聞いた事なかったな」
「なかった。それじゃあターニャ、観光したいから調べてよ!」
それは、かなり嬉しい。
カレンの言葉にターニャをすかさず見ると、直ぐ首を振られた。
「いけません。ご自分の立場をお考え下さい。もしどうしてもと仰るなら、宰相様に許可をお取りください」
「ええ!?あのケチじじいに!?じゃあお母様に聞いてみるわ」
「そうだな、母上なら」
「だから、駄目です!!いいですか!?この休暇もたった2週間しかないのです。それも密に予定が入っておりますので、そのような時間はありません!!」
ちえっ。
それはつまんないな。
ターニャの剣幕に勿論私だけでなく、フィーもカレンも同じ気持ちなのは、よくわかった。
だって3人で睨んでしまったもん。
だって、だって、帝国はとっても綺麗で、輝いていて、お洒落なお店が所狭しと並んでいて、
帝国ガイドブックを買って見て、
あの塔とか、
あの料理店とか、
あの洞窟とか、
あの協会とか、
行ってみたい!!
と思ってかなり何度も見て、場所もクルリとリューナイトと確認した。
「手駒になったんでしょ!?少しくらい融通きかしてよ!」
珍しく、いや、初めてかもしれない。
私は、我儘を大声で言ってしまって、ターニャが酷く驚き青くなったので、はっとした。
「ご、ごめんなさい。その、2人は無理なのは仕方ないわ。でも、私は自由に動ける時間があるよね?クルリとリューナイトと一緒に行きたかった場所に行ってみたいの」
だって、私は2人のようにお偉いさんじゃない、小国の貴族だもの。
「出来ません」
「何でよ!?」
「宜しいですか、公女様は皇太子、皇女が初めてお連れしたご友人。お立場的に、そ、そんな恐ろしい顔で睨んでもダメです!今回は手駒とか言われても、そんな威嚇されても、無理なんです!!ザン!!お前説明しなさいよ!!どっち向いてんのよ!!」
ザンはザンで、全く違う方向を向いていてた。
「いや・・・俺は、そっちは関係ないから、その、姉君が任されているから、俺は知らない」
しどろもどろとあさっての方向を向きながら、喋るザンに、ターニャが睨んだ。
「皇太子と皇女様に、公女様が怖いからって、自分だけ逃げるのは狡いでしょう!!お父様に言うわよ!!」
「いや、姉君それは辞めてくれ!」
「ちょっと、姉弟の喧嘩は後でやってよ!!何で私も出掛けちゃ駄目なの!?」
「待てよ!俺も一緒に行きたいのに、スティングだけ出掛けるのは納得行かない!!」
「それは私もよ!!私達が出掛けられないのにスティング、1人で出掛けるつもり!?」
「当たり前でしょ!楽しみにしてたのだもの!!」
「だから、公女様も駄目ですってば!!」
「何でよ!!私は皇族じゃないし!!」
「スティング、これから先は分からないだろ!?」
「いや、だからそれは先の事でしょ!?」
「先って、スティングが決めてくれれば先じゃないだろ?」
「そうだよ!今行かなくても何時でもいけるのなら、スティングだけ行かなくてもいいでしょ!」
「いや、だから!わかんないでしょ!?」
「そ、それは・・・つまり・・・俺はダメなのか?」
「いや、だからフィー、そこで落ち込まれても困るから!」
「じゃあ決めてくれるのか!?」
「決めるの!?」
「いや、そうじゃなくて!!遊びに行きたいのにこの流れおかしいでしょ!!」
「だから、遊びには行けません!!」
「なんでよ!!」
そんなこんなで、皆で狭い馬車の中大騒ぎしている間に、帝国宮殿に到着してしまい、険悪ムードのまま、皇帝、皇后の前に連れていかれた。
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