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帝国へ(帝国に到着12)
お茶会は思いの外帝国側が気を遣ってくれてた。
私に誰か近づこうものなら、直ぐさま召使いと騎士達が私の前に立ち塞がり、誰も話しかけられないようしてくれた。
それもノワールが率先して動き、その行動と私に対する敬い方に、私への対応が一気に変わった。
やはりノワールはただものでは無いのだ。
お茶会は庭園の中央で開かれた。
恐らく定例の場所なのだろう。
周りを彩る花や木々は、とても手入れが行き届いており美しく整えられていた。
テーブル席に座るのは、フィーとカレンそして私と、招待された方。
招待された令嬢と子息が席につくが、お茶を一杯飲む時間しか与えられていない。
その短い時間に、どれだけ簡素化した説明の中に自分をアピール出来るかが、勝負となる。
私の存在に誰も触れなかった。
恐らく何か、説明されているのだろう。
ただ、セレスティーヌ様だけが、
「ねえ、どういう事!?あなた婚約しているのでしょう!!何故ここまで特別扱いなの!?御自分の立場がどれほど皆様に迷惑をかけ混乱を招いているかご存知!?ここはあなたの小国ではなく、世界の帝国なのよ!!美しいのは認めるけれど、フィー様を誑かすなど許されないわ!!」
叫びながら泣く姿に、私は何も答えられなかった。
私がフィーとカレンを、そして帝国を巻き込んでしまった。
当初の、
何もしなくてもいいわ、
2人に言った自分がどれだけ浅はかだったのか、思いらされた。
誰も言ってくれなかった現実を、この方は言ってくれた。
「泣いて、許されるのとお思いですか!?」
その言葉が、私が泣いていることに、
私自身気づいた。
「許されません。・・・ありがとう、セレスティーヌ様。きっと私達は相容れぬ性格です。でも、セレスティーヌ様のその素直な想いは、大好きです」
ぼたぼたと頬を伝いドレスに落ちる涙のまま、私は必死に微笑んだ。
「なんなのですか!?フィー様、カレン様、この方は・・・何を言っているのですか!?」
分からなくてもいいんです。だって、全ては私のエゴですもの。
結局セレスティーヌ様は、泣き喚きながら連れていかれた。
実際私も自分の立場はよく分からない。
あえて考えないようにした。
皇妃様の言葉の意味も分からない。
自国の事でありながら、帝国皇子、皇女を巻き込み、他国の皇子、皇女を巻き込み、さらに、ヴェンツェル公爵家の馬車が襲われた為、他国をも巻き込んでしまった。
結果が全てだ。
例え、そんなつもりはなかった、と訴えた所で詮無い事だ。
私は、すべき事をするだけだ。
周りの剣呑な眼差しと、疑念の眼差しを受けながら、私は背筋を伸ばし、悪女と呼ばれる微笑みだけを浮かべ続けた。
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