113人が本棚に入れています
本棚に追加
帝国へ(帝国に到着14)
さて、チャリティーの次の日は神殿でお祈りをし、神の加護を頂く日です。神殿はガイドブックにも当然載っていて、お勧め上位にある観光地です。
ここは予定に入っていたので観光には、当然入れていません。
だから、行事だとは言え、これはかなり楽しみの一つだった。
はあ。綺麗。
もうため息しか出ない。
広大な敷地内の中央に、反り立つ5本の塔。
5本の円柱が長く伸びその上に長い円錐が反り立ち、その塔、1つ1つに意味がある。
火
水
風
土
光
5本の塔の中でより高い塔が、光を意味し、帝国の、そうして世界を照らす中心だと言われている。
神殿を護るのは、神の修行に耐えた者と、選ばれた者、と言われその方達は神官と呼び、その頂点に立つのが教皇と呼ばれる。
その選ばれた者、と言うのがいつの時代も曖昧なのだが、人ならざる力を持っているんだって。
私は現実主義なので、目に見えたものしか信じないし、この世の中、魔法、などと言うのは存在しない。
つまり、選ばれし者、というのは占い師?的な人だっと思っている。
実は占いはかなり好きなのだ。
今日は、その光の塔の上で神の加護を教皇から頂くので、興味津々なのだ。
塔の前には、広い中庭と祈りの神殿があるり、塔の中には勿論一般の人は入れないが、その塔の前にある中庭と、祈りの祭壇には誰もが入れる。
だから、観光スポットになっているのだ。
祈りの祭壇に入る為には何十段の階段を登るのだが、その1段1段を足踏みしめる度に心が清らかになる、とガイドブックには書かれていた。
ちなみに煩悩の数の108段ある。
もう、感激!
帝国には前々から興味があって、沢山のガイドブックを持っている。
それを見ながら、お父様やお兄様が帝国に行く度にお菓子や、その地域の土産物を頼んで買ってきて貰ったが、こうやって自分がやってくると感慨深いものがある。
生きてて良かった!
その上、1番に行ってみたいと思っていた神殿に来れた上に、お告げも聞けるなんて、感動よ!
塔に登る前に祈りの神殿でお祈りする事になっていたから、1段、1段、登りながら、
自分のやってきた過ちを懺悔しながら上がったが、途中から、
悪事をやってきた人間にはそれ相応の罪を受けるべきですよね?
私、洗脳されいたから悪くありませんよね?
だから、王妃様の悪事を暴くべきですよね?
私、間違ってませんよね?
多少、やられたら、やり返しても、問題ありませんよね?
殿下やレインや、王妃様にされた事を返しても罰当たりませんよね?
いや、私結構虐められましたよね!?
とか、考え出してしまって、清らかになると言われているのに、登りきる頃にはなんだかムカついていた。
何で私が洗脳されなきゃいけないの!?
冷静に見てみれば、殿下は最低の男じゃない!?
立場を考えれば、もう少し私を大事にしても良くない!?
「疲れた?顔怖いよ」
「仕方ないでしょ、初めて登ったのよ」
登りきるとカレンが声を掛けてきたが、当然疲れただけでは無い。
カレンも汗をかいていたが、勿論私よりも息は切れてなかった。
周りを見ると、参拝者の人数制限されていて少なかったが、皆同じように疲労困憊で汗だくだったが、清々しい表情をしていた。
こんな石段上がるくらいで心が清らかになるなら、人生楽だわ。
と卑屈に思う自分にはっとした。
いや・・・ごめんなさい・・・今の嘘です。
楽しみしに来ておきながら、こんな気持ちは不純ですよね。光の女神様からの恩恵を受けれるのはここしかないですよね。
ふううう、と深呼吸すると、つつつつつ、と、汗が頬をつたった。
風が気持ちよく吹き、少し心が軽くなったような気がした。
これまで卑屈になるのは暗い思考ばかりだったのに、今は前向きな愚痴が思い浮かび、疲労さえも心地よい気分になった。
祈りの祭壇は広いホールになっていた。
生きているような巨大な樹木が中央にあり、その周りを取り囲むようにベンチが並んでいる。
大きな窓もたくさんあり、そこから光が差し込んでいた。
入り口から祭壇まで真っ赤な絨毯が敷かれており、その先の階段で祈りを捧げるらしい。
祈りの祭壇は、神官の祈りを込めた大木を使用し建てられた、ガイドに書いてあった。
祈りの祭壇の奥に、神殿に続く回廊があり、そこを抜け私達は光の神殿へと向かう。
その為に用意された白装束に着て参加しているが、参拝者の人達が私達の格好をいぶしかげに見ていた。
私達は、神官達に案内され奥へと向かった。
後でゆっくり神殿の周りは観光できる、とそこは、ちゃんと、しつこく確認したよ。
お告げは光の塔で受け、入れるのはごく一部に限られているため、クルリもそうだが帝国の護衛も、入ることは許されない。
護衛を兼ねた神官達が側についてくれる。
私の国と違い、神官になる為にそれ相応の腕もなければならないとの事だった。
祈りの祭壇の奥の中央に置かれる、帝国初代皇帝が平民時代に光の女神にお告げを受ける場面を神木と言われる木を使用し彫刻として奉っている。
彫刻と簡単に言うが、高さは120メートルを越えると言われる大作だ。
これ程までに巨大な木は今も尚、存在しない為、神木と言われ、また、光の女神も神ではないか、とも言われている。
光の女神は優しく微笑み、そこに跪く初代皇帝。
後でゆっくり見よう、とちらっと見上げながら通り過ぎ、中庭へとでた。
中庭も素晴らしいものだった。中央に噴水もあり、本当にガイドブック通りの緑豊かな庭だった。
その庭園を抜け、塔へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!