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プロローグ
ピッピッピッピッ......
とある大学病院の救命処置室で、
30代の男性が危険な状態を彷徨っていた。
彼には心電図モニターをはじめとしたあらゆる救命器具が
装着されている。
男性を診察していた医師は、重苦しい表情をしたまま
向かいにいた看護師に向かって首を横に振る。
それは、この男性の命の炎が消えかかっている事を意味していた。
男性の名は八坂拓海・31歳・会社員。
現在婚約中で近々結婚する予定の拓海は、
バイクで通勤中に、
センターラインを大きくはみ出して来た車にはねられ、
救急車でこの病院へ運ばれた。
拓海が病院へ到着した時には、
もう既に回復の見込みがない事は誰の目にも明らかだった。
救命救急病棟の廊下には、拓海の両親と婚約者がいた。
婚約者の谷田茜は現在28歳。
三人は、拓海が事故にあった直後に、病院へ駆けつけた。
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