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拓海と茜は二ヶ月後に挙式を控えていた。
二人はもう既に同じマンションで生活を始めていて、
警察からは茜の元に一番に連絡が入った。
三人は祈るような気持で、じっと待っていた。
そこへ、担当医がやって来て三人に告げる。
「おそらく、今日明日どうこうなってもおかしくない状態です。どうぞ中へ入って、傍についていてあげて下さい」
医師は重苦しい表情のまま、病室の扉を大きく開けた。
その言葉の意味を理解した母親は、声を上げて泣き崩れながら、
夫に抱えられるようにして、中へ入る。
茜は呆然としたままその後に続いた。
救命処置室に入ると、
拓海がベッドの上に横たわっていた。
顔は土気色で、目を瞑っている。
人工呼吸器に繋がれた拓海の身体は、
胸の辺りが大きく膨らんだりしぼんだりと、
不自然な動きを見せていた。
おそらく、もう自発呼吸が出来ない状態のようだ。
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