大王の館にて

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大王の館にて

 それから数日後、ナツヒは兵と共に東へ戻った。  その頃、ユウナギの送った(ふみ)が隣国に届いていた。 「隣の女王からか」    家臣からそれを受け取った大王(おおきみ)は、一通りそれに目を通す。そして。 「あの女をここに連れてこい」  家来にこう命じた。即刻そこまで引きずられ入室したのは。 「お前に祖国の王から(ふみ)だ」  密告行為が露見し捕えられたアヅミだった。 「文……女王から……?」  酷い暴力は今のところ受けていないが、非常にやつれた彼女はいったん後ろ手の縄を解かれ、すぐに前で両手首を縛られた。それでも渡された文は何とか読める。 “ありがとうアヅミ あなたの仕事が国の多くの民を救いました これを誇ってこれからも生きてください”  この一筆に彼女は、片目から涙をぽろりとこぼした。 「その(ふみ)な、お前に渡せって俺宛なんだよ。お前が早速捕えられてること、なんで知ってるんだ?」 「私は何も……知りません……」 「そうか、まぁそうだろうな」  大王は彼宛の一筆箋に目をやった。 「間者に(ふみ)渡せ以外のことが何も書いてないんだが。何なんだこれは」  彼は憤っているような声で話すが、表情は笑っているようにも見える。 「隣を取り込む前に、一度この女王と話してみてえな」 「そこの女王は神がかりで人心を掌握する巫女の系譜でしたね。あなたが手に入れれば、使えることもありましょうが」  最側近の男が彼に話しかけた。 「それも多少考えたんだけどな」 「すでに神の力を失くしたあなたにとっては、生かしておけば脅威ともなり得ますね……」 「ああ残念だ。まぁコマルの代わりにはならねえだろうしな。これは到底従順な女と思えん」  王は笑ったが、その顔にふと、寂しげな色も浮かばせるのだった。 ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 第十四章、お読みくださいましてありがとうございました。 第五部・終章は⇩こちらからお入りください。 https://estar.jp/novels/26176223 - - - - - - - - - - - - - - - - - -ഒ˖° AIイラストを作成していただきました💕 (ファンアート♪(*ノωノ)) 作成AIイラストを投稿されている甘夏ポン太様より、ユウナギとナツヒのイメージイラストをいただきました。 https://estar.jp/novels/26111926/viewer?page=160 和風ファンタジー感ただよう可愛いユウナギとかっこかわいいナツヒのイラストがたくさん掲載されています💛 ぜひカラフルなユウナギ&ナツヒに会いにいってあげてくださいませ♪ (追記:本作第一部にスター特典で、AIイラストを(作者好みに)修正したものを掲載しました。) と、ご紹介させていただきましたが、ここまでお読みくださった読者様のなかには もう確固なイメージがある!ということもあるかと思いますので その場合は、読者様それぞれのイメージを大事にしていただけましたら作者は幸せにございます(#^^#)
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