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黒猫
残業帰り
背中には月光
まばらになった窓の明かり
たどるようにアスファルトを蹴る
ふと刺さる視線
青い瞳の猫
電柱の隙間の黒い毛並み
十一月の風が揺らしていた
にゃあお、帰る?
にゃあお、どこへ?
にゃあお、待ち人は?
にゃあお、どこへ?
黒猫が目を閉じる
闇に溶け込む
俺を置いて先に行ったのか
俺もそろそろ眠りにつこう
日付けが変わる
背中には月光
日常が回って息をする
ポケットの中の鍵が揺れた
ざらり、足音に振り向く
誰も居ない、何も居ない
もう、何にも、遭遇しない
アスファルトを蹴って夜の道を進む
恐ろしいほど美しい満月に照らされながら
今夜は青い瞳の夢を見るのだろう
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