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「寿命で支払いたいです」
僕が答えると、彼女から一瞬だけ笑みが消えた。
「……残念ながら、未成年のお客様は寿命の支払いは出来ない決まりになっているんです」
「でも、契約書にはそんなことは……」
僕が反論しようとすると、どこからともなく万年筆が飛んできて、契約書に書き加えた。
〈特記事項〉
十八歳に満たないものは、寿命による支払いは出来ない。特例として、魔法の部分契約を可能とする。
「部分契約?」
「要するに、魔法の切り売りです。本来なら永続的に使えるようにする契約を、数日、あるいは数回だけ使用可能とする契約です。これなら、代価も抑えることが出来ます」
彼女は笑顔に戻って説明したが、客の前で契約書を書き換えるなんて、大胆なやり方だ。
「そこで提案なのですが」
彼女はテーブル上の本をめくって、こちらに見せてきた。そこには〝等価交換の魔法〟と記されていた。
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