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そんなことをぼんやり考えながら、僕はベッドへ仰向けに寝転がり、カーテンの開いた窓から見える真っ黒な夜空に浮かんだ丸い月を眺めた。
それにしても、あの月っていうものもいったい何なのだろう?朝になれば太陽が上り、夜になると月が出る。そんなことは僕も知っているけれど、そもそもどうしてああして空に浮かんでいるのだろうか?
これも僕の大いなる疑問だ。
「夜は暗くないと眩しくてみんな眠れないでしょ?でも、真っ暗じゃとても危ないわ。だから、神様が夜には太陽の代わりにあの月を空に浮かべて、道を照らしているのよ」
少し前、お母さんに聞いた時に僕はそう教えられた。
残念ながら、僕はお母さんの話を聞いてなるほどとはならなかった。僕は月に対して特別な感情があるわけでもない。神様を信じていないわけでもない。
ただ、あの月をこの世界のみんなは綺麗だとか美しいという言葉で表現して、ありがたそうに見上げていることがあるけれど、僕はそんなことを一度も思った事が無い。
むしろ、飴玉のようにいつもてらてらとして白々しいぐらいに思っている。
僕は不意に窓から見えるその月に向かい、右手を銃に見立てて人差し指を伸ばし、そっと構えた。立てた親指で照準を合わせ、そして引き金を引く。
「バンッ!」
そう口で言っても、僕の人差し指から実際に弾がでるわけでもないし、空に浮かんでいる飴玉のように丸い月が木っ端みじんに弾けることもない。
でも、僕は心のどこかでそうなればいいのにと、そうして月を見上げるたびに思っていた。
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