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「大丈夫か」
Fは私に気を遣い声を掛ける。
頭痛も始まったが、堪えられない程では無かった。
私は強く頷き、キシュウマイ様の石塔の前まで来た。
頭痛は酷くなり、やはり汗が噴き出して来た。
「梨を周りに置いてくれ…」
Fの言葉に、大村と道彦君が梨をキシュウマイ様の周囲に並べ始める。
それを見てFは蝋燭に火をつけて、石塔の前に立てた。
私はFの横で線香を束ねてある紙を外して渡した。
そしてFの読経が始まる。
Fの読経を初めて訊く大村達は不思議そうな表情をしていた。
不良の高校生の読経ではない。
それを聞いて大村達も神妙な表情でキシュウマイ様に手を合わせた。
不思議だった。
キシュウマイ様の前に置いた線香。
既に煙だけが立ち上る状態になっているのに、時折その線香の先から炎が上がる。
しかし、Fはそれも気にせずに読経を続ける。
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