友人Fの本懐11 - 鬼の首伝説 -

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井上のばあさんの読経の声が徐々に大きくなり、少しずつ前に出て、Fの横に立った。 「私がやるよ…」 ばあさんはFから柄杓を取ると、大村の手とキミコの肩、そしてキシュウマイ様の石塔に順番に水を掛けた。 私はふと気付いた。 キシュウマイ様の石塔に歪な形だが、大村の掌やキミコの肩にある痣と同じ、ビショップの印が彫られていた。 家紋か…。 私はそう思いながら、手を合わせた。 不思議と頭痛は引き、汗も流れなくなっていた。 「セキ、梨を割ってくれ」 Fは関口に言う。 関口は地面に置いた梨を一つ取ると、素手でその梨を二つに割った。 そしてその梨をキシュウマイ様の石塔の前に備えた。
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