11人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
Fは立ち上がって、薄暗い空を見た。
「あれ、見てみ」
そういうと指を差した。
その指の先にはキミコの家の瓦に書かれた家紋があった。
「何…。家紋…」
私も庭に出てその家紋を見る。
「一つ宝珠やな…。この家の家紋は…」
井上のばあさんがお茶を飲みながら言う。
「この辺には少ない家紋やからな…。キミコの家はもしかすると霧女に縁のある家なんかもしれんな…」
そう言うとゆっくりと立ち上がった。
「じゃあ、私は帰るわ…。腹も減ったし」
そう言うと歩き出す。
「あ、ばあさん…」
Fは井上のばあさんを呼び止めた。
最初のコメントを投稿しよう!