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怖かった。それでもメッセージを確認したいという欲求には勝てず、僕は画面を見た。
大輝からで、明日の放課後にいつものメンバーで集まろうというものだった。
僕は返事をしなければと、内心はビビりながらも文字を打ち込もうとする。
だけど、どんなに頑張っても打ちたい文字とは別の文字が打たれてしまい、どうにも上手くいかない。しかも打っていないのに、あべこべに文字が打たれている。
「もしかして、大福の呪いとか」
縁起でもないことを僕が口にする。途端にピタリと画面の動きが静かになる。
「……え」
試しに文字を消す為に、×ボタン長押しする。スムーズに消えていく、得体の知れない文字たち。
「大福?」
「ニャー」
僕の言葉に反応するように、スマホから声がした。
「嘘だろ。そんな……」
もし、大福が僕のスマホになっていたのなら……それは間違いなく、大福が既に死んでしまっているということになる。
「大福」
「ニャー」
「大福」
「ニャー」
やっぱりそうだ。スマホは触っていない。それなのに、声がするのは今までになかった。
「ごめんな。大福……ごめん」
気がつけば僕は、ボロボロと涙を流していた。中学生になってから一度もこんなに泣いたことはない。
「スマホばっかり見て、構ってやらなかったからなのか?」
「ニャー」
「ごめんな。スマホになってまで、僕にかまって欲しかったのか?」
「ニャー」
死んでもなお、僕の傍にいたいくて、視界に一番入りやすいスマホになったのかもしれない。そう思うと、普段の行いを振り返って後悔の念ばかりが押し寄せていた。
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