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「本当にごめん。大福」
「ニャー」
大福に会いたかった。一昨日の夜に相手にしてやらなかったことが今は凄く悔やまれる。
いつの間にか枕元には鼠のオモチャが置かれていた。遊んで欲しいと大福が咥えて来たのだろう。
「ごめんな。ごめんな」
僕はスマホを優しく撫でる。これが大福であると分かった以上は、そうせずにはいられなかったからだ。
それに答えるように、スマホからも「ニャーゥ」と甘える声が聞こえてくる。
どんな形になっても、大福は大福だ。これでずっと一緒にいられる。あの柔らかな感触ではなくとも、傍にいつも携帯出来るのは嬉しかった。
階下から母が呼ぶ声がする。
僕は涙を拭うと、ドアを開けた。
「大福が帰って来たわよ」
嬉しそうな母の声。
「ニャー」
スマホを握る手元からも声がした。
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