3. リオンとサラ、その家族

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 * * * 「待ってよ、ネコ!」 「捕まえたりしないから!」  二匹のネコを追いかけながら、僕とサラは叫んだ。 「見失っちゃうよぉ!」 「リオン! 弱音吐かないで走って!」  月夜を待って部屋を抜け出した僕らは、いつもの公園でオレンジとブルーを見つけた。  こっそり後をつけているうちに時間はどんどん過ぎて、山の方が明るくなってきて。そろそろネコが帰る時間かなと思ったら、どこからか突然、ニワトリの鳴き声が聞こえてきた。  コケコッコーー!  その瞬間、顔を見合わせた二匹が走り出したんだ。  もう隠れてなんかいられない。僕とサラはなりふり構わずネコたちを追いかけた。すると追われていることに気づいたオレンジとブルーはスピードアップして、夜明け前の追いかけっこが始まってしまったのだ。  そして。 「サラ、見て!」 「あの子たち、何してるの?!」  町外れのアーチ(きょう)までやってきた二匹は、そのまま橋を渡って行くのかと思いきや、なぜか橋の真ん中で欄干によじ登り始めた。  もしかしたら、僕らに追いかけられたせいで、パニックになっちゃったのかもしれない。 「あぶないっ!」 「川に落ちたら、溺れちゃうよ……っ!」  僕とサラは、同時に地面を蹴った。考えるより先に体が動いちゃったんだ。  僕はオレンジに、サラはブルーに、前足を伸ばして跳びかかった。  二匹がびっくり顔で振り向いた時には、僕らは全員、空中にいて。  どぼん!  川面に映った大きな満月の真ん中に、みんなで落ちた。
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