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* * *
「待ってよ、ネコ!」
「捕まえたりしないから!」
二匹のネコを追いかけながら、僕とサラは叫んだ。
「見失っちゃうよぉ!」
「リオン! 弱音吐かないで走って!」
月夜を待って部屋を抜け出した僕らは、いつもの公園でオレンジとブルーを見つけた。
こっそり後をつけているうちに時間はどんどん過ぎて、山の方が明るくなってきて。そろそろネコが帰る時間かなと思ったら、どこからか突然、ニワトリの鳴き声が聞こえてきた。
コケコッコーー!
その瞬間、顔を見合わせた二匹が走り出したんだ。
もう隠れてなんかいられない。僕とサラはなりふり構わずネコたちを追いかけた。すると追われていることに気づいたオレンジとブルーはスピードアップして、夜明け前の追いかけっこが始まってしまったのだ。
そして。
「サラ、見て!」
「あの子たち、何してるの?!」
町外れのアーチ橋までやってきた二匹は、そのまま橋を渡って行くのかと思いきや、なぜか橋の真ん中で欄干によじ登り始めた。
もしかしたら、僕らに追いかけられたせいで、パニックになっちゃったのかもしれない。
「あぶないっ!」
「川に落ちたら、溺れちゃうよ……っ!」
僕とサラは、同時に地面を蹴った。考えるより先に体が動いちゃったんだ。
僕はオレンジに、サラはブルーに、前足を伸ばして跳びかかった。
二匹がびっくり顔で振り向いた時には、僕らは全員、空中にいて。
どぼん!
川面に映った大きな満月の真ん中に、みんなで落ちた。
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