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新たな拘束具を予感させる金属音を背中で鳴らされ、要求を先読みして尻を上げる。突如鋭い痛みが走り目尻と口枷から汁を垂らした。
革製の鞭が凪いだ室内に風の音を響かせる。
肌がひりついて感覚が尖る。
竦む睾丸を揉まれ乳首を摘まれた。
「待て」
冷徹な声が降りて再び滾る。
指で念入りに拡張された肛門に冷たい何かが埋め込まれた。
振り向けない。正面の鏡を凝視するが行為の詳細は掴めなかった。
感覚を尖らせるか鏡の中にしか現状を掴み得ない。視界を狭められ、ただ自身の姿とのみ向き合うと、それ自体が自慰のようで罪の淵に墜ちていく。
立ち上がる気配がして香りが移ってゆく。
男は嗅覚で時を数えた。
香水は纏う者を生々しく演出し、嗅ぐ者の官能を刺激する。
そして時として容姿よりも鮮烈に印象を記憶に刻む。
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