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「ねぇ、見て。キレイなお月様。」
「ほんとだね。キレイな満月だ。」
月明かりが美しい夜だった。
「ねぇ、覚えてる?アタシたちが初めて会った夜のこと。」
「あぁ、もちろん覚えているさ。あの夜も今日と同じくらいキレイな満月だったね。」
カレと初めて会ったのも満月の夜だった。
「そうよ。今日と同じ…とても…キレイな…ま…」
「ん?どうした?」
アタシは満月の夜がキライだ。
「ねぇ、どうして?」
「・・・」
カレは何も言わない。
「ねぇ、どうして…?お月様はあの夜と同じ満月なのに…。アナタはアタシの隣にいないの?」
「・・・」
満月の夜は居なくなったカレの事を思い出す。
「なんとか言ってよ!」
月明かりが優しくアタシを包み込む。
「いつもそばにいるよ。」
そんなカレの声が聞こえた気がした満月の夜だった。
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