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「逃げろ!
兵舎にも火がついた!」
誰かが叫んでいる。
ふと見ると、階段下に炎が見えた。
柊は逃げる気もないような顔でそちらを見ている。
「澪」
と静かに呼びかけてきた。
「お前はこれから、新しい学校の怪談になるんだ」
お前はこれから怪談になる。
そう言われて、恐ろしくない人間がいるだろうか。
だが、恐ろしいというより、ただ、不思議な感じがしていた。
さっきまでの達観したような瞳ではない。
今まで見たことがないような熱い瞳で柊が自分を見ていたからだろう。
柊が自分の手をつかみ、抱き寄せる。
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