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『さよなら、澪。
お前の未来は俺の過去……』
「最初にお前と出会ったのは、逃げ遅れた兵が居ないか、みんなに止められながらも、確認に入った兵舎の中だった。
お前は燃え盛る兵舎の中、制服姿で階段の上から降ってきた。
制服なんて、いつの時代もそう変わらないものだから、なんとも思っていなかったが。
思えば、あれは、うちの高校の制服だった。
そして、悟ったんだ。
前世の俺が結婚したのは、時間を超えてきたお前だったのだと」
――ようやくわかった。
霊が見えないはずの坂田さんに軍人さんたちが見えた理由。
その軍人さんたちは霊ではなかったのだ。
坂田さんが見たのは霊ではなく、過去と現在が重なった瞬間だったのだ。
車にはねられた美術教師が見たものも、きっと同じものだ。
柊の手紙はまだ続いていた。
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