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「落ち着いたか?」
と柊そっくりの軍人、片桐直哉が訊いてくる。
「怪我してるのか。
あちらに衛生兵が居る。
見てもらうといい。
……お前、なんであんなところに居たんだ。
スパイか」
いや、いきなりのスパイ疑惑……。
私、あなたと結婚するんですよね?
今だろうが、過去だろうが、前世だろうが。
柊はなにも変わらず、柊だった。
見上げて笑うと、片桐は気まずそうに目を逸らす。
「……娘、行くぞ」
とこちらに背を向けた。
「はい……」
澪はあの手紙を大事に折りたたみ、またポケットにしまった。
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