七不思議 満月ノ夜ニ――

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「落ち着いたか?」 と柊そっくりの軍人、片桐直哉が訊いてくる。 「怪我してるのか。  あちらに衛生兵が居る。  見てもらうといい。  ……お前、なんであんなところに居たんだ。  スパイか」  いや、いきなりのスパイ疑惑……。  私、あなたと結婚するんですよね?  今だろうが、過去だろうが、前世だろうが。  柊はなにも変わらず、柊だった。  見上げて笑うと、片桐は気まずそうに目を逸らす。 「……娘、行くぞ」 とこちらに背を向けた。 「はい……」  澪はあの手紙を大事に折りたたみ、またポケットにしまった。
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